「キリストに出会って」

                                       

 モンゴルの首都ウランバートルには、ホームレスの人達が集まってお酒を飲む場所があります。 私はそこで初めて福音を聞きました。17才くらいの時です。幼い頃からろくに食べ物もない中で強盗まがいのことをしたり、喧嘩をしたり、相手は男女かまわず暴力を振るったりしていました。そんな生活を何年もしていたから虚しくて、もういつ死んでもいいと思っていたのです。 ある時、お酒を飲んでいる所に福音を伝えに来た人から小さな伝道文書(トラクト)を渡されました。そこには『イエス・キリストはあなたを愛しています。私達の教会に来てください。』と書いてありました。

 

 初めて聞く名前でした。だから、教会にはイエス・キリストという人がいるのだと思い、それなら1度その人と会ってみてから死のうと考えたのです。当日は毎日お酒を飲んでいたので、初めて教会に行った時も、体中ものすごく酒、臭い匂いをさせていました。教会の前にいる人に『あなたはもう入らないで帰ってください。』と言われるかと思ったら、その人達がすごい笑顔で『どうぞお入りください』と言ってくれたのです。

 だから、私も勇気をもって入りました。初めて会ったその教会の牧師は私を見てハグをし『イエス・キリストはあなたを愛しています。』と言って、その瞬間に涙を流しました。それで教会に行くようになりました。暖かい場所で、食べ物もくれるので、それから私は教会の地下室で生活しました。ある時、みんなで田舎に行って福音を伝える機会があり、自分もついていきました。そこでは毎日、伝道映画を上映しました。映画の中でイエス様が『私について来なさい』と弟子達に言うのを私はいつも聞いていました。

 

 ある日、私もそのようにしてみようと思ったのです。教会に行く前はキックボクシングをしていたし、喧嘩ばかりして人を痛めつけていた。自分は悪い人間だと気がつきました。イエス様がこの悪い人間の私のために十字架にかかって、私の罪を赦してくださったこと、そして3日目によみがえって私の人生を新しくしてくださったことを信じました。自分はこんな悪い人間なのに、こうして教会に招かれて、愛してもらっている。もう死んでも当然なのにこうして命が生かされている。そう思った時、神様の救いに心から感謝することができました。イエス様を私の罪からの救い主だと信じたのです。それから神学校に行く決心をしました。神様は私に必要なものは全て与え、備えてくださいました。また聖書に書いてあるように、目が見たことも、耳が聞いたこともないような奇跡が起こりました。肝硬変になって、余命半年と宣言されたけど、神様の恵みで癒やされた奇跡でした。

 

『目が見たことのないもの、耳が聞いたことのないもの、人の心に思い浮かんだことがないものを、神は、神を愛する者たちに備えてくださった。』(コリント2:9)

 

 

 今でも私は、いつも教会の人達に、神様にできないことはない、だからどんな時も神様を信じてくださいと言っています。それは、神様が私を祝福されたから、私も神様の愛と祝福を、貧しい子供達に分けてあげたいと思うようになりました。

                                                        バーサンドゥオーリ師