私が6歳の時でした。母が買い物に出かけ、私は家で1人になりました。
急にアイスが食べたくなり、冷蔵庫を開けましたがアイスはありません。
その時、タンスの一番上の引き出しに、母の小銭入れがあることを思い出しました。
イスを台にして探すと、10円玉がたくさん入った小銭入れを発見!
私は「1枚ぐらいなくなってもわからないよ」と思い、その中から10円玉をとり、
近所のお店に行ってアイスを買って食べました。
しかし、その後も私は同じことを続けて、3本もアイスを食べてしまったのです。
食べ終わった瞬間「僕は悪いことをした」という思いで、心が苦しくなり、とうとう私は泣き始めました。
正直に母に言って謝ろうと思い、母が帰って来るなり、私は土下座をし、泣きながらすべてを打ち明けました。
右のほっぺから叩かれるのかな、左からかな、怯えつつ待っていると、母は私の頭をなでてくれました。
えっ!?と驚きながら、そうっと顔を上げると、母は言葉では何も言いませんでしたが「Kは悪いことをしたってわかっているんだね。お母さんは正直に話してくれたKのことをゆるしてあげるよ」そういう目をしていました。
そして母は何も言わずに台所へと消えていったのです。
「でも、きっと父さんが仕事から帰ってきたら、怒られるんだろうな?」
けれども、その日、私は父から怒られることはありませんでした。
一一一今はもう、母は天国に召されました。ある日、私は思い切って父に聞きました。
「僕が母の財布から30円盗んでアイスを食べたあの話、母さんから聞いてなかった?どうしてあの日、父さんは僕を怒らなかったの」すると父は答えました。「そんなことがあったなんて、母さんはひとことも話さなかった。
今日初めて聞いたよ」私は何十年もたってから、母から本当のメッセージを受け取りました。
「忘れないでね。イエス様の十字架の赦しとは、赦すと言った瞬間から、何事もなかったかのようにしてくださることなんだよ」一一一このお話しで、お母さんの立場は、ヨセフと全く同じだと思います。
ヨセフに罪を犯して、奴隷として売った兄たち、ヨセフに対して嘘をつき、濡れ衣を着せたポテファルの妻、牢獄で夢を解き明かしてもらい、助けられた献酌官は、ヨセフとの約束を忘れて2年間も牢獄に閉じ込めておいた罪、これらの罪をことごとく赦して何も責めることをしなかったヨセフの姿が、このお母さんの姿と同じであると思います。現代の私たちは、ヨセフのようにイエス・キリストというお方が、私たちの罪の身代わりとなって十字架について、すべての罪を赦してくださり、3日目に復活して私たちが新しく生きるようにしてくださったのです。
今、私たちの罪は赦されて、もう責められることはないのです。 Kさん
「キリストも一度罪のために死なれました。正しい方が悪い人々の身代わりとなったのです。それは肉においては死に渡され、霊においては生かされて、私たちを神のみもとに導くためでした。」1ペテロ3:18