「あなたのために」
作詩作曲 宇山 誉牧師
震災の混乱の中、通常の活動を中止し、 他の学生らと共に被災者への支援活動を行う日々が続いていました 。神戸の街が一変し、多くの人々の尊い命が失われたこと、 特に当時奉仕をしていた教会で震災前に親しくお交わりをした女性 がこの震災によって家屋の下敷きとなり、 亡くなられたことに大変ショックを受けました。そして、 死というものは予期せぬ時に突然やってくるものであることを実感 し、 福音を伝える使命がどれほど尊いものであるかを改めて気づかされ ました。そうした思いの中で祈っている時、心の内に「 今こそ福音を伝える時ではないか一一、『一一出て行き、 すべての造られた者に福音を宣べ伝えなさい』(マルコ16: 15)」という主からの強い迫りを受けたのです。 すると不思議と同じ導きを受けた神学生が複数おり、週1回、 定まった時間に路傍伝道を行うことになりました。
非常に勇気が要ることでしたが、 人々に届くように大きな声で賛美をし、福音を伝えたのです。 思った以上に私たちの話や賛美に耳を傾けてくださる方々がおられ 、驚きました。
今後もこの賛美が神の愛を伝えるものとして、 また私たちクリスチャンが十字架の愛を覚えるものとして用いてい ただけるのなら幸いです。 (2024年百万人の福音4月号より)
1あなたのために死んだ人がいる
あなたのために死んだ人がいる
すべての重荷から救うため
孤独の中から救うため
キリストが十字架で死んだのは あなたを愛してるから
2あなたのために死んだ人がいる あなたのために死んだ人がいる
すべての罪を赦すため
すべての傷を癒すため
キリストが十字架で死んだのは あなたを救うため
3あなたのために死なれた方は
あなたのためによみがえられた
死ぬべきあなたが生きるため
いのちに満ちあふれるため
キリストが十字架で死んだのは あなたが生きるため
キリストが十字架で死んだのは あなたを愛してるから
この賛美は、1995年1月17日に起きた阪神・ 淡路大震災の時に作ったものです。
当時、 私は神戸市内にある関西聖書神学校在学中の神学生でした。
震災による痛み、 悲しみを抱えて歩いておられる方々に、限られた短い時間の中で、 「イエス・キリストの十字架による救いは、 あなたのために与えられたもの」 であることをストレートに伝えたいと思いました。 震災によって人の死と向き合わざるを得なかった人々。彼らに「 イエス様の十字架の死は無駄死にではなく、あなたを救い、 あなたを本当の意味で人間らしく生かすための死であること」 を伝えたいと、願いを込めて祈りつつ作った賛美が、この「 あなたのために」でした。
作った私自身、この賛美をささげる時、 いつも心の内に熱いものが込み上げてくるのを感じます。 まさに主の愛を深く覚えるのです。その後、この「 あなたのために」 の賛美を用いて路傍伝道を行う他の青年グループも起こされ、 各地でこの賛美が歌われるようになったことは、 主の御業であると思います。
またこの原稿の執筆中1月1日に、 能登半島地震が起こったことは、 私自身が福音宣教の働きに携わる者として再び襟を正されたことで ありました。
今日の日本宣教において災害と支援、 そして伝道は切り離せないものだと考えています。